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土地の風土が創り上げた人々の匂い。旅先で見かけた、そんなちょっとした時の流れが僕は好き。


by iro-tavi

残暑お見舞い

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残暑お見舞い申し上げます。
立秋とはいえ、連日の猛暑にいささか参っておりますが、皆様方はいかがお過ごしでしょうか?

この度「撮影後記」はこちらに移転することになりましたので
ご報告差し上げます。

今後も旅先で出会う土地の匂いや撮影で感じたことを綴って参りますので、宜しくお願い致します。

【 iro-tavi 】
# by iro-tavi | 2008-08-21 12:31

ケチャ・ラーマヤナ劇

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古刹・ウルワトゥ寺院が暖色系の空に包まれる頃、1人のマンクー(神事を司る僧侶)が松明に灯をともす。これが「ケチャ・ラーマヤナ」の始まりとなり、声だけの独特の旋律を奏でながら男達はトランスして行くのである。

もともと「ケチャ」とは、儀式舞踏であるサンヒャンの最中にトランスした1人の舞踏家が「チャック」「チャック」とリズムを刻む声に陶酔しバリス(儀式の舞踏)を踊り始めたのがきっかけとなり、現在の「ケチャ・ラーマヤナ」が生まれたそうである。
その発案人がドイツ人画家のシュピースである。彼は信仰と自然が共存するバリを愛し、今日、僕達がイメージする「楽園」「神々の島」を具体化してくれた、バリ芸能の父と称される人物である。

そんな彼が創造した宇宙はウルワトゥ寺院の神聖さと自然の雄大さの両方を見方につけて、見る者全てを陶酔させ、もっとも輝く時を迎えていた。

【バリ・ウルワトゥにて】
# by iro-tavi | 2008-07-24 16:13

ウブドの夜

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アユン渓谷に陽が沈み今まで鳴いていた鳥達のさえずりが消える頃、何処からともなく聴こえてくるガムランの音。ウブドではこれが太陽の時と月の時との境界線となる。そして月の時が進む頃ウブドはトランス状態へと加速するのである。
バリ芸能はもともと宗教性が高い「wali」から観光用に上演される「Balihan」まで同空間に存在することがほとんどであり、それらの組み合わせで1つの舞踏を演じる。特にウブドはこれらバリ芸能の中心地として多くの歌舞団が凌ぎを削りその舞いは月の時の主役となる。
今、僕の目の前で舞っている「Kebyar Torompong」は踊り手である男性が女装した形で「踊りながら楽器を演奏する」という「Balihan」であるが、終始、目を見開いた力強い表情は男性、作り出される旋律の繊細さは舞う女性を表現しているのであろう、人という存在を越えた美しさ、別の生命体を感じる。

芸能とは往々にして中性的感覚の中で発展していくことが多いようだがバリ芸能の礎を築いたドイツ人画家「シュピース」は彼らの舞いをどう感じるのだろう。

トランスを終えた月の時はそんなことを妄想するにはもってこいの場所である。

【バリ・ウブド王宮にて】
# by iro-tavi | 2008-07-19 18:00

祈りの形

祈りの形_a0078807_11195880.jpg 人の遺伝子には古来から神を祀ることが刻まれているのかも知れない。それは祭りという形の祈願であり、その土地の風土と溶け合い、世界中の国々で今も続いている。今、僕が訪れているフィリピン・バギオという町でも先住民族である「イフガオ族」の土着の文化にこの土地の花をミックスさせた「PANAGBENGA/ストリート・パフォーマンス」と言う形で祀られ、それは一見「リオのカーニバル」にも似た、それでいてフレンドリーなフィリピンらしさが加わったフィエスタ(祭り)である。もともとフィリピンのフィエスタはキリスト教とスペイン統治時代の影響が色濃く残り、それは遺伝子レベルで受け継がれてきたかのようなラテン系の血筋を引いた開放感があり、魅了させられる催し物が多い。そんなパフォーマンスに従事する女性の動作1つ1つが沿道に群がる全ての人の遺伝子をノックしていたように感じられた。祈りの形は違うとも、日本人である僕にもそれは届いていた。

【フィリピン・バギオにて】
# by iro-tavi | 2008-06-14 11:21

プラナカン文化

プラナカン文化_a0078807_13585535.jpg マレー半島の先端にある小さな国・シンガポール。特筆するものは「マーライオン」・・他に何が思い浮かぶだろうか。少なくとも僕は「土地の匂いの薄い国!?」そんな感覚でこの国を捉えていた気がする。そう「プラナカン文化」という存在を知らなかったからである。
「プラナカン文化」とはマレー半島にやってきた中国系移民の間で花開いた文化であり、現地のマレー文化、そして植民地時代のポルトガル・オランダの文化を取り入れた複合文化である。その特徴はフェミニンという言葉が妥当であろうか、カラフルな色使いは本土中国の文化とは一線をかき、独特の世界感がある。そんな「プラナカン文化」であるが、近代化に伴う継承の問題、そして戦時中に日本軍の手に因って衰退を余儀なくされた背景があることを現地の方からお話を頂いた。知らな過ぎたこの国の真実、そして日本人として心の痛む言葉の数々。世界中には表になかなか出てこない現実があるんだと思い知らされた今回の旅であった。

【シンガポール・カトン地区にて】
# by iro-tavi | 2007-11-06 14:55