土地の風土が創り上げた人々の匂い。旅先で見かけた、そんなちょっとした時の流れが僕は好き。


by iro-tavi

古都

a0078807_1339593.jpg 「古都」とは古くからの都、または昔に都がおかれていた土地のことを指す。そんな「古都」という言葉の響きに心の奥底から掻き立てられる何かを求めネパール・バクタプルという街に来ている。その昔、マッラ王朝の3王国時代に首都の一つとして栄え、互いに美を競い合った町並みはネワール文化の最高傑作として今なお色褪せない姿で生き続けている。それはまるで映画のセットのようでもあり、褐色の古い建物が軒を連ね、褐色の石畳が街を埋め尽くす。事実、映像美で名高いベルトリッチ監督の「リトル・ブッタ」の一部は、このバクタプルで撮影されたものだという。
時は過ぎるとも、青く棲んだヒマラヤの空に刺さるかのように建つニャタポラ寺院のお膝元、行き交う女性のクルタ姿の何気なさに心が掻き立てられる答えがあるように思えた。それは「運命を背負った人の街」。意味深ではあるが「人が街を創造し、街も人を創造する」僕の心はそこに反応していた。

《ネパール・バクタプルにて》
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# by iro-tavi | 2007-08-22 13:41

温故知新

a0078807_17132650.jpg 緑豊かな地を縫うような香江河畔に栄えた街、フエ。かつてベトナム最後の王朝、阮朝の都が置かれ、その繁栄を今に知らさせる建築物の数々は正しくこの街が都であったことを物語っている。そんなこの街でガーデンハウスと呼ばれるお宅を訪問させて頂いた。ガーデンハウスとは当時の姿を色濃く残す家々のことであり、美しく配置された庭園と家屋のバランス、咲く花、そしてそこを漂う空気感はその時代の名残として今も尚、生き続けている。そんなガーデンハウスが佇む街並みを全く古臭く感じさせない、逆に新しささえ覚える伝承的美意識こそ、ベトナム全土に広がるベトナム人のアイディンティティーなのかもしれない。
便利を追求することを間違ってはいるとは思わない、僕もその便利な生活に慢心している一人だから。ただ「闇雲にそれを追ってはいけない、温故知新ですよ」とガーデンハウスの1住人に囁かれたような気がした。

【ベトナム・フエにて】
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# by iro-tavi | 2007-07-20 17:13

神獣

a0078807_197963.jpg太陽の日が幽かな光りだけを地上に残す頃、僕は「八達嶺」に着いた。中国1の史的観光スポットであるこの地は、日中はおそろしい数の観光客でごった返すと聞いていたが、そんな気配など全く感じられないくらいに、この時間は静寂の支配下に置かれていた。そして完全に今日という日が終わりを告げた時、新たな命が息づいたように僕には見えた。それは数千年前ではきっと気付くことのない、今という時代だからこそ、目にすることが出来た闇夜に浮かぶ「龍」の姿であった。中国という歴史背景がそんな気を起こさせたのだと思うが、漆青の空へと続くかのように建造された城壁は正しく神獣「龍」が伝説の中から蘇り、数千年にも及ぶ歴史の重みとロマンを語りかけているかのようだった。そしてゆっくりとゆっくりと身体をくねらせながら、時空を越えた闇夜へと昇る「龍」の姿を空想しその姿を追い続けていた。

【中国・万里の長城にて】
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# by iro-tavi | 2007-05-27 19:07

残り香

a0078807_1632492.jpg地球上には多くの栄枯盛衰が刻まれている。それはある意味悲しい事実かも知れないが、その反面その場所でしか感じることが出来ない独特の歴史を残すことに繋がっている。特にアジア地区はヨーロッパ諸国からの植民地支配の影響が色濃く残り、もともとあるその地域の匂いと上手く解け合い、フレンチベトナム・スパニッシュフィリピンと呼べるような今までに既存しない新しい文化が生まれるに至っている。そんな融合的文化とも呼べる土地の匂いが僕自身の心を揺さぶる一つ要素となり、旅をより印象的なものとしてくれている。今、僕が訪れているマカオも近代的エッセンスを加えつつも、アズレージョを始め、街の至るところにポルトガル統治時代を偲ぶ足跡を残し、旅人を現代の異空間マカオへと誘っている。時は経ち、時代が急速に変化を遂げる今日でも尚、ステンドガラス窓から射し込む優しい光は、きっと当時の姿のまま何一つ変ってはいない、いや、変ってはいけない。

【マカオ・ペンニャ教会にて】
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# by iro-tavi | 2007-05-10 16:32

輪廻転生

a0078807_12482076.jpg死んであの世に還った魂が人や動物になって何度も生まれ変わることを「輪廻転生」という。仏教などの思想感の中から生まれた言葉だと思うが、だとすると、今、僕の目の前に広がるこの美しい景色を後世の僕の魂は見ることや感じることが出来ているのだろうか?
仕事柄、訪れた土地の匂いに敏感になり、そんな匂いを感じることが好きになった。けど、この数年、その土地特有ともいえる匂いに微妙な変化を感じている。それは近代化に伴った時の歩み、そして微妙にズレてきている自然の匂いがそう思わせているのかも知れない。寂しいことだが、その自然の匂いは僕たち人間がそうしてしまったのは否めないことなのだと思う。今、僕のいるモルディブも地球温暖化の影響で島が没するかも知れないと噂されている国である。こんな美しい国が海中に沈む・・・きっと後世の僕はこんな美しい国があったことすら知らない、それはあまりにも悲し過ぎる。

【モルディブ・アナンタラ リゾート&スパにて】
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# by iro-tavi | 2007-04-10 22:11