
島のほぼ真ん中ぐらいのところで足を止めた。そこには、この島唯一の小学校があり、元気な子供達で溢れかえっていた。そしてその子供達1人1人が見せる屈託のない笑顔が、最近感じることのなかった感覚として僕を引き止めたのだ。
今、僕が訪れているのはフィリピン・セブ島から船で3時間ぐらいのところにあるバリカサグ島。歩いても島一周40分も掛からないこの島は、電気・水道などのライフラインさえもままならない、そんな島である。でも軒先でニワトリの親がヒナにミミズの採り方を教え、家の木の木陰で豚が涼を摂る。素朴だけれど、妙に懐かしささえ覚える。島には島特有の不便さがあると思うのは、僕のような近代的な生活に慣れ親しんだ人の戯言、でもそれを知らずに生きていけるこの環境だからこそ、あの屈託のない笑顔が生まれるんだろう。「豊かさはその人なりの尺度の中」そう感じた小さな島であった。
【フィリピン・バリカサグ島にて】