ボルネオ島の東側に点在する幾つかの島の中にシパダン島という、とても小さな島がある。おそらくダイビングをする人以外で、この島の名前を知っている人はそうはいない?そんな島である。僕がシパダン島に訪れたのは今から2年前。いろいろな情報が飛び交う中、残念にもこの島の保護という理由から入島が禁止される数ヶ月前であった。僕は一人、夕方のビーチを歩いていた。空は刻一刻と茜色へと様相を変え、海をも包み込んでいた。そんな中、コテージのテラスで夕日を眺めていた老夫婦が目に止まった。もちろん彼らとは会話など交わしていないし、名前さえも知らない。でも僕は、もう戻ることの出来ないこの空間に時を同じくした、そんな共鳴感みたいなものを老夫婦に感じ、シャッターを押していた。シパダン島は今現在も閉鎖中だと聞いている。でもその時の感情は、もうこの目で見ることが出来ないかも知れないシパダン島の夕日と共に写真の中に残っている。
【マレーシア・シパダン島にて】
【マレーシア・シパダン島にて】
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by iro-tavi
| 2006-07-23 18:08